日本経済新聞 2002年 5月9日より | |||
電気分解で下水に処理 イガデンが装置 工場排水の中和剤やアミノ酸 水処理装置開発のイガデン(茨城県石下町、五十嵐武士社長)は、食品工場から出る排水や家畜のふん尿などを安全に処理できる難分解物質除去装置を開発した。 環境に負荷が掛かる物質を分解、下水に流せる状態まで浄化する。筑波大学や茨城県などと共同で五月から実証実験を始め、将来には霞ヶ浦の浄化事業などにつなげる。 汚水をタンクに入れ、二種類の金属電極に電圧をかけて電気化学反応を起こす。食品工場などで多く使われる中和剤やアミノ酸などの難分解物質を効率的に除去できるという。 賞味期限の切れたお茶や調味料、塗装廃液などで実験すると、一分ほどで分解した物質が沈殿し、液は透明になる。環境汚濁物質の含有量の基準となるCOD(化学的酸素要求量)値は、四千百PPM(PPMは百万分の一)から十PPMに減った。環境基準の六百PPMを下回り、下水に流すことができるようになったという。 毒性を持つシアンの分解も可能。一リットルあたり十三.七ミリグラム入っていた排水を処理すると、十五秒ほどで同0.一ミリグラム未満になったという。 従来はバクテリアで処理するのが一般的だが、温度が低い冬季は処理が遅かったり、高濃度の塩水を含む食品工場廃液ではバクテリアが働かないなどの欠点があった。 筑波大学と技術移転を手がける筑波リエゾン研究所(茨城県つくば市)、茨城県などと共同で、実用化に向けて実証実験する。食品メーカーや、湖、河川の浄化を目指す自治体などに売り込む。 |